「子どもや孫に、少しでも早く財産を渡してあげたい」
でも、いざ行動に移そうとすると、「税金ってなんだか難しそう…」「後でトラブルにならないかな?」と、不安が頭をよぎるかもしれませんね。
このコラムでは、そんなあなたの悩みを解決するヒントとして、2024年に改正された「相続時精算課税制度」について、わかりやすく解説します。
この制度を賢く活用すれば、選択肢が広がります。
1.はじめに ~大切な人への贈り物を考えるヒント
2.「相続時精算課税」って、どんな制度?
・制度の概要と非課税枠
・相続税との関係
3.令和6年の改正で、もっと便利に!
・年間110万円までの基礎控除
・暦年課税制度との組み合わせが可能に
4.暦年課税制度の注意点 ~持ち戻し期間の変更
・「持ち戻し」とは
・持ち戻し期間が段階的に7年に
5.制度を利用するための手続きと注意点
・申告手続きについて
・制度の選択は慎重に
相続時精算課税制度が、令和6年(2024年)1月から、さらに便利に
「子どもや孫に、少しでも早めに財産を渡してあげたい」そうお考えの方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、税金のこととなると、なんだか難しく感じてしまいます。
ですので、いつかは検討が必要になる「相続時精算課税制度」について、わかりやすくお話ししようと思います。
この制度は、子どもや孫へ財産を贈与する際、贈与した時点では税金を払わず、将来の相続の時にまとめて清算するという仕組みです。
原則として、60歳以上のお父様やお母様、おじい様、おばあ様から、18歳以上のお子様やお孫様への贈与に利用できます。(60≧⇒⇒⇒18≧)
そして、贈与した財産の合計が2,500万円までなら、贈与税はかかりません。
もし2,500万円を超えた場合は、超えた分に対して一律20%の税金がかかります。
そして時が過ぎ、 贈与した方が亡くなった時、この2,500万円までの財産も、相続財産として合計し、相続税を計算することになります。つまり、その時にまとめて税金を払う可能性があるということです。
しかしご安心ください、3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)という相続税の基礎控除があるので、必ずしも税金を払うということではありません。
メリットが大きいですね。
例えば、お子様が住宅を購入する時や、お孫様の教育資金に充てる時など、必要なタイミングで財産を渡すことができます。
知らなかった!***令和6年から、さらに使いやすくなりました!
この相続時精算課税制度が、令和6年(2024年)1月から、さらに便利になりました。
以前から、贈与者が異なる場合は、片方の贈与者からの贈与で相続時精算課税制度を利用し、もう片方の贈与者からの贈与で暦年課税制度を利用することは可能でした。今回の改正で、その使い方がより魅力的になったと言えます。
変更点
今回の改正により、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が設けられました。この基礎控除は、贈与者ごとに適用されます。これにより、以下の組み合わせが可能になります。
父親からの贈与(相続時精算課税制度を選択した場合)
・年間110万円までの贈与は、申告不要で非課税となり、相続財産への加算も不要です。
「コッソリ贈与してもバレないのでは?」と思うかもしれませんが、それは危険です。マイナンバー制度が導入された一番の理由は、国がお金の流れを正確に把握するため。税務署はAI(人工知能)を使って、銀行口座の動きを効率的に分析し、申告されていない贈与を厳しくチェックしています。
・110万円を超える贈与は、2,500万円の特別控除内で贈与税がかかりませんが、将来の相続時に加算されます。
母親からの贈与(暦年課税制度を選択)
・年間110万円までの贈与は非課税となります。
・贈与から7年(細部は下記)が経過すれば、相続財産に加算されません。
このように、両親それぞれから贈与を受ける場合、父からの贈与と母からの贈与で異なる制度を利用することができます。これにより、より多くの財産を非課税で贈与したり、将来の相続税の負担を軽減したりすることが可能になります。
相続時の持ち戻しが長くなった
「暦年課税制度」(毎年110万円までの贈与が非課税になる制度)を利用していた場合、亡くなる前3年以内に行われた贈与は、相続財産に含めて計算する必要がありました。これが2027年からは、段階的に7年に延びることになりました。
これからは「相続時精算課税制度」を利用する方が、より安心できるかもしれません。
| 西 暦 | 内 容 |
|---|---|
| 2024年〜2026年 | 3年間(改正前のルールが適用) |
| 2027年 | 4年間 |
| 2028年 | 5年間 |
| 2029年 | 6年間 |
| 2030年 | 7年間(2030年までは、4年目以降の贈与は合計100万円まで控除つまり、合計から-100万円) |
| 2031年以降 | 7年間(完全移行) |
この制度を使いたい場合は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに、「相続時精算課税選択届出書」という書類を税務署に提出する必要があります。この手続きを忘れてしまうと、この制度は利用できませんので、注意してください。
一度この制度を選ぶと、もう「暦年課税制度」には戻れませんので、よく考えてから利用することが大切です。
制度の選択は「タイミング」ではなく「戦略」です。
若くて元気なうちに暦年課税制度を利用し、資産が増え、60歳を過ぎ、子供の住宅購入などでお金が必要になるときに相続時精算課税制度を使うという方法もあります。
税金の話は少しややこしいですが、大切なご家族に想いを伝えるため検討が必要かもしれません。
そういう私も、検討しなきゃいけないですね。