2026年、これからの住宅ローンの選び方

住宅ローンは「低金利だから変動」で大丈夫?

住宅を購入するとき、多くの方が悩むのが「住宅ローンをどう選ぶか」です。
これまで日本では長い間、住宅ローンの金利が低い状態が続いてきました。
特に変動金利は固定金利より低い水準で設定されることが多く、「できるだけ低い金利で借りたい」という考えから、変動金利を選ぶ方も多くいました。
ところが、現在は状況が変わりつつあります。
日本銀行の金融政策の変化などを背景に、住宅ローンの変動金利にも上昇の動きが出ています。
では、これから住宅を購入する人は、変動金利と固定金利のどちらを選べばよいのでしょうか。
今回は、住宅ローンについてあまり詳しくない方にも分かりやすいように、金利上昇の影響から、5年ルール・125%ルール、50年ローン、ペアローン、残価設定型住宅ローン、住宅ローン減税まで整理してみます。



まず知っておきたい「変動金利」と「固定金利」

住宅ローンの金利には、大きく分けて「変動金利」と「固定金利」があります。

変動金利とは?

変動金利は、その名のとおり、金利が変動するタイプの住宅ローンです。
一般的には、固定金利よりも借入当初の金利が低く設定されていることが多いのが特徴です。
そのため、
「毎月の返済額をできるだけ抑えたい」
「借入期間を短くできる」
「金利が上昇しても返済できる余裕がある」
という方には、変動金利が選択肢になります。
一方で、将来的に金利が上昇すれば、返済負担が増える可能性があります。

固定金利とは?

固定金利は、一定期間または借入期間全体の金利を固定するタイプです。
代表的なものが「フラット35」です。
フラット35は、借入時に返済終了までの金利と返済額が確定する全期間固定金利の住宅ローンです。2026年8月現在、借入期間21~35年の最頻金利は年3.29%となっています。
変動金利と比較すると金利は高くなりやすい一方、
「将来、金利が上がっても返済額を変えたくない」
「毎月の住宅ローンを一定にして、教育費など他の支出を計画したい」
という方には安心感があります。

「変動金利のほうが低いから、変動を選ぶ」は本当に正解?

ここが住宅ローンを考えるうえで重要なポイントです。
変動金利は、現在の金利だけを見ると魅力的に感じます。
しかし、住宅ローンは「今月いくら払うか」だけでなく、これから20年、30年、35年と返済していくものです。
例えば、3,000万円を35年間、変動金利1.2%で借りた場合を考えてみます。
毎月の返済額は約87,511円
総返済額は約3,675万円です。
では、10年後に金利が1%上昇し、2.2%になったとしましょう。
10年間は1.2%で返済し、その後25年間を2.2%で返済すると仮定すると、
毎月の返済額は約87,511円から約98,317円へ上昇します。
約1万800円の増加です。
年間にすると約13万円
25年間続けば、家計に与える影響は決して小さくありません。
もちろん、実際の住宅ローンは金融機関ごとの金利・返済方法・金利優遇・ルールなどによって結果が変わります。
ここで大切なのは、
「金利が1%上がったら、住宅ローンの負担はどうなるのか?」
という視点を持っておくことです。
金利が上がると「毎月の返済額」だけが問題なのではありません
住宅ローンの返済額は、大きく分けると「元金」と「利息」で構成されています。
例えば毎月10万円を返済していたとしても、
金利が低いときは、
「元金8万円+利息2万円」
だったものが、金利が上昇すると、
「元金6万円+利息4万円」
というように、同じ10万円を返していても元金の減り方が遅くなる可能性があります。
つまり、金利上昇の影響は、
「毎月の返済額が増えるかどうか」だけではありません。
「住宅ローンの残高がどのくらいのペースで減っていくのか」
という点も重要です。

「5年ルール」「125%ルール」があるから大丈夫?

変動金利の住宅ローンを検討していると、
「5年ルールがあります」
「125%ルールがあるので急激には上がりません」
という説明を受けることがあります。
これは確かに重要な仕組みですが、金利上昇そのものがなくなる制度ではありません。
また、5年ルール・125%ルールはすべての金融機関・住宅ローンに共通しているわけではありません。
例えば三菱UFJ銀行では、変動金利・元利均等返済の場合に5年ルールと125%ルールが適用されます。一方、PayPay銀行では両ルールを採用していません。

5年ルールとは?

簡単に言えば、
金利が上昇しても、一定期間は毎月の返済額をすぐには変更しない
という仕組みです。
ただし、その間も金利が上昇すれば、返済額の中で「利息」の占める割合が増え、「元金」の減り方が遅くなることがあります。

125%ルールとは?

返済額を見直す際に、
前回の返済額の125%を超えないようにする
という仕組みです。
例えば毎月10万円だった場合、次の返済額が12万5,000円を超えないようにするという考え方です。
しかし、これは「金利上昇分を払わなくてよくなる」という意味ではありません。
金利上昇によって本来必要となる返済額との差額は、元金の返済が遅くなったり、場合によっては未払利息が発生したりする可能性があります。
つまり、
5年ルール・125%ルールは「負担をなくす制度」ではなく、「返済額の急激な増加を抑える仕組み」
と考えておくことが大切です。

では、変動金利と固定金利、どちらがいいの?

結論から言えば、
「誰にとってもこちらが正解」というものではありません。
例えば、
・借入額が比較的少ない
・返済期間を短くできる
・収入に余裕がある
・金利が上昇しても対応できる貯蓄がある
という方であれば、変動金利を選択する考え方もあります。
一方、
・借入額が大きい
・返済期間が長い
・現在の収入に対する住宅ローンの負担が大きい
・教育費など今後大きな支出が予定されている
・金利上昇によって家計が苦しくなる可能性がある
という方は、固定金利を含めて慎重に検討する必要があります。
住宅ローンは「借りられる金額」ではなく、「無理なく返せる金額」から逆算することが大切です。

固定金利は高い?「フラット35」の金利引下げ制度にも注目

固定金利は変動金利より金利が高い傾向があります。
しかし、固定金利にも金利を引き下げる制度があります。
フラット35では、子育て世帯や住宅性能の高い住宅など、一定の条件を満たすことで「フラット35子育てプラス」などの金利引下げを利用できる場合があります。
2026年8月現在、フラット35の借入期間21~35年の最頻金利は年3.29%ですが、一定の条件を満たす場合は当初期間の金利引下げを受けられます。
つまり、
「固定金利=高いから選択肢から外す」
と考えるのではなく、
「金利引下げ制度を利用した場合、実際の返済額はいくらになるのか」
まで計算して比較することが重要です。

50年ローンなら月々の返済を抑えられる?

最近では、35年より長い「50年ローン」も選択肢として考えられるようになりました。
確かに返済期間を長くすると、毎月の返済額は小さくなります。
例えば3,000万円を金利3%で借りた場合、
35年ローン
毎月:約115,455円
総返済額:約4,849万円
利息:約1,849万円
50年ローン
毎月:約96,593円
総返済額:約5,796万円
利息:約2,796万円
となります。
毎月の返済額は約1万9,000円下がりますが、その一方で、利息は約946万円増えます。
つまり、
「毎月払える金額」と「最終的に支払う金額」は別の問題
です。
50年ローンが悪いということではありません。
子育て期間の家計負担を抑えたい場合や、将来的な繰上返済を計画している場合など、長期ローンを活用する意味もあります。
ただし、
「50年にすれば買えるから買う」
という考え方には注意が必要です。

共働きなら「ペアローン」や「収入合算」という方法も

住宅価格が高くなり、夫婦どちらか一人の収入だけでは希望する住宅を購入しにくい場合、
「ペアローン」や「収入合算」
という方法があります。
ペアローンは、夫婦それぞれが住宅ローンを契約し、それぞれが返済する方法です。
一方、収入合算では、一定の条件のもとで配偶者などの収入を合算して借入可能額を計算する方法があります。
これによって、単独で借りるよりも借入可能額を増やせる場合があります。
ただし、ここにも注意点があります。
共働きを前提に借入額を大きくした場合、
・病気やケガ
・育児休業
・転職
・勤務時間の変更
・収入減少
などによって家計の状況が変わる可能性があります。
「今の世帯収入なら返せる」だけではなく、
「どちらかの収入が減っても返せるか?」
という視点が必要です。

新しい選択肢「残価設定型住宅ローン」

住宅価格の上昇や住宅ローンの長期化を背景に、新しい選択肢として「残価設定型住宅ローン」も登場しています。
住宅金融支援機構では、子育て世帯などの返済負担を軽減することを目的として「特定残価設定ローン保険」を創設しており、これを利用した残価設定型住宅ローンを提携金融機関が提供しています。
簡単に説明すると、
将来の住宅の価値を「残価」として設定し、その部分を最後に残すことで、毎月の返済負担を抑える仕組み
です。
例えば5,000万円の住宅について、2,000万円を残価として設定した場合、イメージとしては残価を除いた部分を中心に毎月返済していきます。
そして将来、
・住宅を売却する
・残価を返済する
・契約内容に応じた方法で住宅を処分する
などによって残価部分を精算します。
また、制度の対象となる商品では、一定の条件のもとで売却価格が残価を下回った場合のリスクをカバーする仕組みもあります。
ただし、
毎月の返済額が少なくなる=総支払額も少なくなる
とは限りません。
残価部分にも利息が発生するため、通常の住宅ローンより総支払額が大きくなる可能性があります。
新しい制度だからこそ、「月々いくら払うか」だけでなく、最後にいくら残るのかまで確認することが重要です。

2026年は「住宅ローン減税」も確認しておきたい

住宅を購入する際には、住宅ローンの金利だけでなく「住宅ローン減税」も重要です。
2026年度の税制改正では、住宅ローン減税が2030年12月31日までに入居する場合まで延長され、省エネ性能の高い既存住宅について借入限度額の引上げや控除期間13年への拡充などが行われています。
控除率は0.7%です。
例えば、一定の条件を満たす住宅であれば、年末時点の住宅ローン残高に応じて所得税等から控除を受けられる可能性があります。
特に中古住宅を購入する方にとって、
「その中古住宅が住宅ローン減税の対象になるのか?」
は購入前に確認しておきたいポイントです。
中古住宅の場合、住宅の性能や築年数、床面積などによって借入限度額や控除期間が異なります。

親からの資金援助を受けられる場合は「贈与税」も確認

住宅購入の際に、ご両親や祖父母から資金援助を受けられる場合もあります。
2026年12月31日までの住宅取得等資金の贈与については、一定の要件を満たす場合、
省エネ等住宅なら1,000万円まで
それ以外の住宅なら500万円まで
贈与税が非課税となる特例があります。
ただし、単純に「親から1,000万円もらえば税金がかからない」という制度ではありません。
住宅の性能や贈与を受ける人の要件など、さまざまな条件があります。
また、住宅ローン減税と組み合わせる場合にも注意点があります。
資金援助を受けられる可能性がある場合は、購入前に税理士や税務署などに確認しておくことをおすすめします。

中古住宅なら「旧耐震・新耐震」も確認しましょう

中古住宅を購入するとき、価格や室内の状態だけを見てはいけません。
特に重要なのが「耐震基準」です。
一般的に、1981年6月1日以降の建築確認に適用された基準が「新耐震基準」、それ以前が「旧耐震基準」と呼ばれています。
ただし、住宅ローン減税については、
「旧耐震だから絶対に利用できない」
という単純な話ではありません。
2026年現在、昭和56年12月31日以前に建築された中古住宅について住宅ローン減税を利用する場合、耐震基準適合証明書など、現行の耐震基準を満たすことを確認するための書類が必要となります。
また、取得後に耐震改修を行うことで、一定の要件を満たせば住宅ローン減税を利用できる場合もあります。
中古住宅を購入するときは、
「安いから買う」ではなく、「住宅ローン減税や住宅ローンの利用条件を満たせる住宅なのか」
まで確認することが大切です。

住宅ローンは「金利」だけで決めない

ここまで住宅ローンについて説明してきましたが、最もお伝えしたいのは、
住宅ローンは金利だけで選ぶものではない
ということです。
例えば、
「変動金利が0.○%だからお得」
「固定金利は3%だから高い」
という比較だけでは、本当に自分に合った住宅ローンなのか判断できません。
大切なのは、
① 今の収入で無理なく返せるか
② 金利が1%上がっても返せるか
③ 子どもの教育費が増えても大丈夫か
④ 50年ローンにした場合、最終的な利息はいくらになるか
⑤ 住宅ローン減税を利用できる住宅なのか
⑥ 将来売却する可能性があるか
⑦ 共働きのどちらかの収入が減っても返済できるか
こうしたことを一つずつ考える必要があります。

「住宅が買えない」と決めつける前に

金利が上昇し、住宅価格も高くなっている現在、
「住宅を購入するのは難しくなった」
と感じる方も多いと思います。
しかし、住宅ローンには変動金利だけではなく、固定金利、金利引下げ制度、ペアローン、収入合算、長期ローン、残価設定型住宅ローンなど、さまざまな選択肢があります。
さらに、住宅ローン減税や住宅取得等資金の贈与税非課税制度など、住宅購入を支援する制度もあります。
重要なのは、
「いくら借りられるか」ではなく、「自分たちはどの方法なら無理なく返済できるのか」
を考えることです。
そして、今住んでいる住宅から住み替える場合には、
「今の家を売却して、その資金を新しい住宅の購入に充てる」
という方法もあります。
現在の住宅ローンが残っている場合でも、売却価格やローン残高、次の住宅の購入価格などを整理することで、住み替えの可能性を検討できる場合があります。

住宅ローンで迷ったら、まず「家計から」考えてみませんか?

住宅ローンは専門用語が多く、金融機関から説明を受けても、
「結局、自分の場合はいくらまで借りて大丈夫なの?」
と分からなくなってしまうことがあります。
私たち天神不動産では、物件そのものだけを見るのではなく、
「この住宅を購入したあと、ご家族が無理なく生活できるか」
という視点も大切にしています。

  • 変動金利と固定金利
  • 35年ローンと50年ローン
  • 単独ローンとペアローン
  • 住宅ローン減税を利用できる住宅と利用できない住宅

中古住宅なら、耐震基準や住宅性能についても確認が必要です。
一つひとつを比較していくと、最初は「無理かもしれない」と思っていた住宅でも、別の方法が見つかることがあります。
「住宅ローンがよく分からない」
「自分はいくらくらいの住宅なら無理なく買えるのか知りたい」
「変動と固定、どちらが自分に合っているのか相談したい」
そんなときは、ぜひ天神不動産へご相談ください。
住宅を売る・買うだけではなく、
その先の暮らしまで一緒に考える不動産会社でありたいと考えています。
※本記事は2026年8月時点で確認できる制度・金利情報をもとに作成しています。住宅ローンの金利や各種税制・優遇制度は、金融機関、借入条件、住宅性能、世帯状況等によって異なります。実際の利用可否や適用条件については、金融機関、税務署、税理士等への確認をおすすめします。