賃貸物件を借りる際、敷金や礼金だけでなく、さまざまな初期費用がかかります。清掃費用、消毒費用、事務手数料、火災保険料、保証会社利用費など、中には「なぜこの費用が必要なの?」と感じる項目もあるかもしれません。
残念ながら、一部のオーナーさんは法律や慣習に対する理解が不足しているため、不当な費用を請求してくることがあります。さらに、不動産会社もオーナーさんや清掃業者との関係を優先し、借り主にとって不利な条件を提示することが少なくありません。
特に、退去時の原状回復費用はトラブルになりやすいポイントです。本来はオーナーさんが負担すべき修繕費を、借り主が支払わされているのが実情です。ただし、合理的な金額の場合に特約は有効であるため、トラブルを防止するためにも契約前に必ず確認してほしいです。
「誰が、どの費用を負担する義務があるのか?」を正しく理解することは、もしも高額な費用を請求された場合の武器になります。
貸主(オーナーさん)の負担となるもの国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、賃貸契約における借り主と貸主の負担区分が明確に示されています。このガイドラインの内容を知ることで、「えっ、そうだったの?」と驚くような事実があるかもしれません。
以下は、通常の使用や経年劣化によって生じるものとして、原則として貸主が負担すべき費用です。
賃貸契約と似たものに使用貸借契約がありますが、両者には大きな違いがあります。これは、原状回復義務の考え方にも影響します。
| 項 目 | 賃貸借契約 | 使用貸借契約 |
|---|---|---|
| 契約の性質 | 有償の契約(対価として賃料が発生) | 無償の契約(対価は発生しない) |
|
原状回復義務 |
賃借人の故意・過失による損耗のみが対象。通常損耗や経年変化は貸主負担。 | 原則として借りた時の状態に戻す。通常損耗や経年変化も借主が負担する可能性が高い。 |
| 根拠条文 | 民法第621条 | 民法第599条 |
| 修繕義務の負担 | 貸主が、物件を使用可能な状態に維持する修繕義務を負う。 | 借主が、日常的な維持管理や必要費を負担する。貸主には原則として修繕義務はない。 |
賃料を支払っている賃貸借契約では、原状回復といっても借りる前の完全な状態に戻すわけではありません。
賃料の中には、物件の維持管理費用も含まれていると考えることができます。
備え付けの冷蔵庫、ガスコンロ、エアコン、給湯器、電子レンジ、ストーブなどの修繕が必要となった場合、誰が費用を負担するのでしょうか?これも、契約書で見落としてはいけない項目です。
設備なのか残置物なのかによって負担責任が違います。入居後にエアコンがすぐに壊れても、管理会社が対応してくれない可能性があります。重要事項説明書や契約書にサインをする前に、必ず確認が必要です。もしも残置物扱いとされている場合は、すべて借主の負担となり、購入や処分が必要になることがあります。
2020年4月1日施行の民法改正により、個人が連帯保証人となる場合のルールが大きく変わりました。主な目的は、安易な保証による個人の過度な負担を防止することです。
極度額(上限額)の設定義務化
この法改正の最も重要なポイントです。個人が根保証契約の連帯保証人になる場合、保証人が支払う責任の限度額(極度額)を明記しなければ、その保証契約は無効になります。
対 象
賃貸借契約の家賃や原状回復費用、事業用融資など、将来にわたって発生する債務の連帯保証。
背 景
これまでの連帯保証契約は、保証人が負う責任が青天井で、主債務者が多額の債務を抱えた場合、保証人が想定外の大きな負担を負うリスクがありました。
様々な事情を背景として、現在は連帯保証人を立てることも少なくなり、家賃保証会社を利用するオーナーさんが増えました。家賃滞納者への対応は非常に精神的に疲弊するため、保証会社を利用することでオーナーさんと借主の双方が安心して契約を続けられます。
ご不明な点があれば、遠慮なく仲介不動産会社にご質問ください。お客様の疑問や不安を解消し、納得してご契約いただくことこそが、私たちの仕事だからです。